COVIDと脳卒中 その2(コロナに感染すると脳卒中になりやすい??)




2.コロナに感染すると脳卒中になりやすい??

これは、未だに諸説ありそうですが、
脳梗塞になりやすいのではないか
とずっと言われています。

前回お出しした研究(Int J Stroke 16: 137–149, 2021.)では、61本の論文からコロナ感染者の脳卒中について検討したものですが、脳梗塞が87.4%、脳出血11.6%、脳静脈血栓症0.5%でした。
またコロナ患者さんの脳卒中発症率は4.9%だとその文献をもとに記載しましたが、他にもいくつか報告ありましたが同様か、それよりも少ない様子でした。
また、日本はもっと少ないというデータが、おそらくそろそろ出てくると思います(もう出てたらすみません)


インフルエンザと比較した文献も出ていて(JAMA Neurol. 2020;77(11):1366-1372.)ニューヨークの2016-2018年のインフルエンザ患者と2020年のCOVID-19患者での比較をしています。
すると、オッズ比7.6倍COVIDの方がインフルエンザよりも脳卒中を起こしやすいことがわかりました。


…もちろん、これはワクチンも治療薬もないときの話なので、今は少し違うかもしれません。また、COVID-19の重症例は検査するのも大変なので、もっと潜在的な脳卒中があったのではないか、という話もありました。


ちなみに、COVID流行ってから過小評価されがちなインフルエンザですが、罹患すると通常の方より2.9倍脳卒中になるリスクがあります。
インフルだって、ならないほうがいいんです。。。


ちなみに、COVID-19感染者の方が、非COVIDの脳卒中より重症化しやすいという文献もあります。(Stroke. 51: e254–e258, 2020.

NIHSSというのは脳卒中の程度をあらわしていて、右にいくほど重症です。
ASTRALはCOVID-19の患者さん背景(年齢とか性別や脳卒中のリスクファクター)をそろえた非COVID患者さんのデータですが、右にいくほどCOVID-19の患者が増えていることがわかります。
これも16カ国のデータですが、2020年のものですので、またワクチンや治療薬で今後変わってくると思います。




また、COVID-19をインフル・細菌性肺炎患者と比較して脳梗塞やアルツハイマー病などないかをみた文献(Front Neurol.2022 13:904796)もあります。
これは、デンマークの健康台帳?からデータを抽出して比較したものです。
非感染者・インフルエンザ感染者よりCOVID-19罹患後の方が脳梗塞を起こしやすく、アルツハイマー病や脳出血はのリスクは、他の疾患と差がないというデータでした。尚、この論文は2016-2021年のデータから抽出しているため、ワクチン接種後の方も中にはいってきていると思います。





本当は、ワクチンうったうってないで脳卒中の差を見た論文、なんてのがあったらいいなと思いましたがそこまでは時間切れでみつけられませんでした…そのうち出てきてほしいですね。


こういうことを勝手に言ってはだめなのかもしれないですが、重症者が減って低酸素血症なども減ってきている現状を考えると、COVID関連の脳卒中は減ってくるのかな、と個人的には期待しております。(残り694/723)